SAWA
地図に線はあっても、
どの土地が沢に接するかは分からなかった。
河川は地図に描かれています。土地の境界も、法務省のデータとして公開されています。 それでも「この地番に沢が接しているか」を答えられる仕組みは、私たちが探した限りありませんでした。
SAWAは、その2つを重ねて地番単位で判定するためにつくった解析システムです。 沢バンクに掲載している土地の情報は、ここから出ています。
PRINCIPLE
推定と、実在と、法的なもの。
この3つを混ぜません
SAWAの設計で最初に決めたのがこれです。性質の違う3種類の情報を、 色も線種もスコアも分けて持ちます。合成しません。
推定層
地形データ(DEM)からの計算
標高から水の集まる方向を計算し、流路になりうる筋を出したものです。 機械的に求めた「沢がありそう」であって、水があることの証拠ではありません。
現況層
地理院の水系・航空レーザの実在水部・現地写真
実際に水があることの証拠です。ただし「無い=水が無い」ではありません。 航空レーザは水面で反射が返らず欠測になりやすく、樹冠下の細流も写りません。陽性の確証としてのみ扱います。
法的層
公図の水路敷(青線)・国土数値情報の河川
行政上・法的に位置づけのある水路です。実際に水が流れているかとは別の話で、 取水や工作物の可否はここに関わってきます。
HOW IT WORKS
何をしているのか
地形から流路を推定する
林野庁が公開している山梨県の点群由来1mメッシュDEMを主なソースに、標高から水の集まる方向を計算します。 窪地を埋め、平坦部を等値でたどって流出口までの距離を与えたうえで、最急降下方向に流量を積み上げます。 一定の集水面積(0.05km²)を超えた筋を沢として抽出し、合流点で分割します。
既知の河川・水路と突き合わせる
地図に記載のある河川、公図上の水路敷と照合します。 推定した筋のうち、どれに裏づけがあるかを区別します。 裏づけのないものは推定のまま扱い、実在として扱いません。
筆界と重ねて地番単位に落とす
法務省の登記所備付地図データと重ね、どの地番に流路が接するか、通過するかを判定します。 接し方は敷地内通過・境界沿い・角のみ接触の3つに分け、 内部を通る長さと全体の長さの比で機械的に決めます。角だけ触れているものには警告を付けます。
条件を数値化する
沢との関係、傾斜、平坦地、接道、災害区域、建物、農地、地形分類。 面積は平面直角座標系で計算し、図上面積であって公簿地積とは別物である旨を必ず併記します。
机上でできるところまで流水を確かめる
幅0.5〜3mの沢は樹冠の下を流れ、航空写真には写りません。 ただし車道と交わる地点には必ず橋か暗渠があります。 沢と道路の交差点を12,217か所抽出し、上流側を向く角度を計算して、その地点の写真を確認できるようにしています。
現地で確かめる
ここまでは全部、机の上の話です。実際に水が流れているかは、行かないと分かりません。 現地で確認できたものは実線に切り替え、推定と区別して記録します。
SCORING
点数を1つにまとめません
評価は4つの独立した軸で持ちます。合成した総合点はデータには持たせず、 使う側が重みを決めて並べ替えられるようにしています。
- ① 地形推定スコア
- 地形から見た「沢の通りやすさ」。集水面積に応じて0〜100で表します
- ② 記載の証拠
- 地理院の水系、公図の水路敷など、記載としての裏づけの量
- ③ 常時流水の見込み
- 土壌・植生・湧水観測などから推定する予定の軸。現在は未実装です
- ④ 机上スクリーニングのリスク
- 土砂災害、洪水、地すべり、保安林などを合成した警戒度
なお沢バンクの物件ページに出している「SAWAスコア」は、 沢30/平坦15/傾斜15/広さ15/田舎度15/低リスク5/証拠5 の重みで合成した一例です。 この重みは絶対的なものではありません。
OUTPUT
出せるもの
対象地域を指定していただければ、その範囲の全筆について次を算出します。所有者情報は含みません。
沢との関係
- 敷地内を通過/境界に沿う/角のみ接触 の区分
- 筆の内部を通る長さ(m)と、接する長さ(m)
- 沢までの距離、上流側の集水面積
- その判定に使った網の解像度(1m/3.5m/5m)
- 流路の由来(推定・現況・法的の三層)
地形
- 傾斜の中央値と、急なほうから1割の値
- まとまった平坦地の面積と、その最大区画
- 地形分類(尾根・谷底・扇状地など)
- 樹冠の高さと開空率
- 細長さ(旗竿地・帯状地の検出)
接道
- 道路までの距離と、最寄り道路の種別
- 実測の幅員(道路縁の対向ペアから算出)
- 幅4m以上の道に接するか
- 外部から使える道か、構内路・私道のみか
- 公図上の道路敷(里道)に接するか
災害・規制
- 洪水浸水想定区域(浸水深・該当割合・対象河川)
- 土石流危険渓流、地すべり、急傾斜地崩壊危険区域
- 大規模盛土造成地
- 水源地域の指定(契約前の届出が要る区域)
土地の状態
- 図上面積(坪換算つき)
- 農地かどうか、その重なり割合
- 建物の有無・棟数・面積・被覆率・最寄り建物までの距離
- 筆界未定地かどうか
- 公有地(水路敷・道路敷・無地番地・長狭物)の除外判定
形式
- CSV/GeoJSON/地図画像
- 座標系は表示WGS84、面積と距離は平面直角座標系
- 同じ入力からは必ず同じ出力が出ます(乱数を使いません)
COVERAGE
解析済みの範囲
- 北杜市
- 69,785筆(白須・横手・花水・三吹・柳澤ほか。武川町・白州町を中心に14大字)
- 韮崎市
- 18,057筆(穴山・青木・下円井ほか。北西部)
- 南アルプス市
- 27,721筆(標高400m以上)。地図表示・接道・建物・沢ラインまで。沢スコアは次の段階です
- 拡張の可否
- 登記所備付地図データと、高精細な地形データが整備されている地域であれば対応できます。ご相談ください
DATA SOURCES
使っているデータ
すべて公開されているデータです。組み合わせ方と、判定の作り方が私たちの仕事です。
| 筆界 | 法務省 登記所備付地図データ(G空間情報センター経由) |
|---|---|
| 地形 | 林野庁 山梨県点群由来1mメッシュDEM。広域と欠測の補完に10m級のDEM |
| 実在水部 | 山梨県点群(0.5m)から得られる水部データ |
| 河川・水路 | 国土交通省 国土数値情報、公図の水路敷 |
| 道路 | 国土地理院ベクトルタイル(一次)+OpenStreetMap(補完)+公図の道路敷 |
| 建物 | 国土地理院ベクトルタイル |
| 農地 | 農林水産省 筆ポリゴン |
| 災害 | 国土交通省 国土数値情報、不動産情報ライブラリ、防災科学技術研究所 |
| 背景地図 | 国土地理院 地理院タイル(航空写真・標準地図・傾斜量図ほか)、林野庁 陰影図 |
地形タイルは自前で作り直しています。 一般的な10m級のDEMをそのまま使うと、平らな圃場が波打って見えるほど地形が歪みます。 実測したところ、林野庁の1mデータと比べて細部の情報量が約3分の1、標高で中央値7mのずれがありました。 そこで林野庁のデータを主ソースに、無効値のノイズを除去したうえで、 ズームごとに範囲を変えた4,345枚のタイルを自前で焼いています。
LIMITS
できないこと、間違えること
先に書いておきます。ここを理解せずに使うと、判断を誤ります。
水があるかは分かりません
地形から「水が集まる筋」を出しているだけです。実際に流れているか、通年で切れないかは判定できません。 渇水期に涸れる沢は珍しくありません。第③軸として常時流水の見込みを持つ設計にしていますが、現在は未実装です。
見えない水は拾えません
暗渠、パイプ排水、樹冠に完全に覆われた細流は地形データに現れません。 逆に、人工的な溝を沢として拾うこともあります。実在水部のデータも陽性の確証としてのみ有効で、 「データに無い=水が無い」ではありません。
網状に広がる川では位置がずれます
扇状地で流れが何本にも分かれる区間では、計算上の流心が実際の流路から100〜300m、 最大で500mほどずれることがあります。格子の細かさを上げる以外に本質的な解決がありません。
分筆された土地で誤りが出ます
枝番のある土地では、隣の筆が沢との間に入っていることがあります。 これは現在も誤判定が出やすい部分です。該当しうる筆には印を付けてお出しします。
筆界は登記データの精度に依存します
地籍調査が済んでいない地域では、公図と現地がずれます。境界の確定には使えません。 筆界未定地は候補から外さず、警告を付けて残します。
面積は図上のものです
地図上の形から計算した面積で、登記簿の地積とは別物です。取引の数量には使えません。
接道は机上の判定です
道路データとの接続関係を見ているだけで、建築基準法上の接道義務を満たすかどうかの判定ではありません。 「一般道」という分類も、第三者が通行できることを断定するものではありません。
平坦地の値には屋根や舗装が乗ります
地形として平らな面を拾うため、建物の屋根や舗装面も含まれます。 建物の被覆率を併記していますので、人が見て判断してください。 解像度の粗い区域では、平坦地の値そのものを算出せずに空欄にします。推測で埋めません。
水を使えるかは別の話です
河川法上の区分、慣行水利権、市町村の条例。取水の可否はSAWAでは判定できません。 沢の水は使えるのか をご覧ください。
AVAILABILITY
ご提供の形
- 一度お出しする形
- 対象地域を指定していただき、その時点の解析結果をお渡しします
- 更新を続ける形
- 新しい情報が入るたびに更新してお届けします
- 費用
- 対象範囲の広さ、必要な指標、更新の頻度によって変わります。まずはご相談ください
- お出しできないもの
- 登記記録から得られる所有者の個人情報。データベースそのものの譲渡
- 使い方の制限
- 元データの提供元が定める利用条件に従っていただきます。出典の明記をお願いします
解析範囲外の地域について。 沢バンクに掲載している土地のうち、SAWAで解析済みなのは上記の範囲だけです。 それ以外の地域の物件は、掲載元の情報をもとに沢との関係を整理しており、解析値は表示していません。 根拠のない数値を出さないための措置です。
CONTACT
SAWAのご利用について
対象地域と、何を判断したいのかをお知らせください。 解析できる範囲と、どの程度の精度でお出しできるかを最初にお伝えします。 できないことは、できないとお答えします。